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2006年5月31日 (水)

仏像はここを見る。

仏像鑑賞に関する基本書。
絵や写真が分かりやすい。

敢えて難をつければ、P.202に、「仏教では、人は死んでもまた生まれ変わるという輪廻転生の思想を説く」と書いてある。

ブッダは、上記の輪廻転生(いわゆるバラモンの教え)に対して、悟りを開き、輪廻転生から解脱する教えを説かれた。

それが仏教である。

さらに言えば、輪廻転生では同じ人間に生まれる保証はなく、畜生や餓鬼となる可能性があるわけである。

また、人間に生まれても、当時のインド社会では、バラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャ、シュードラの階級があり、善行を積んでも生まれ変わるのは一つ上の階級に限定されていた。

こんな現状を打破するために、ブッダはあらゆる人間に平等な真理を発見されたのである。

仏像はここを見る―鑑賞なるほど基礎知識 Book 仏像はここを見る―鑑賞なるほど基礎知識

著者:瓜生 中
販売元:祥伝社
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2006年5月29日 (月)

公案(実践的禅入門)。

座禅のやり方、数息観、十牛図、公案三十三則と、臨済禅の基本が記述されている。

絶版になっているのが惜しい。

「一枚悟り」と指摘されてしまった。
「何でも一枚になりきった無相平等のお悟りで片づける禅をいう」

「五蘊皆空」「一切悉皆仏性有り」「色即是空、空即是色」

それはそれなりに悟りだ。

しかし、いつもありとあらゆる食材を全部中華鍋に入れて、塩コショウで味付けして、最後に醤油を鍋肌から注いで「チャンプルーです。」としてお客様に出すのは、それはそれでおいしいだろうが、そればかりでは前に進まない。

「空」の一字で混ぜておしまいにするのではなく、そこから何を創造するかだ。

※アマゾンで報酬対象外でした。

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2006年5月24日 (水)

会社のカミ・ホトケ。

近代資本主義の主な担い手であるはずの株式会社が、日本に受容される過程で江戸時代の「藩」に似せて考えられてきたことは、良く知られている。

この本では、そこから更に突っ込んで株式会社に固有の「カミ・ホトケ」が存在していることを紹介している。
取り上げられている会社の殆どがその手の話では有名な会社なので、そんな会社の内情が見えて面白いが、「ふーん、あの会社って、そうなんだ」のレベル。

紹介されていた事例で引っかかる物がある。高野山や比叡山に会社墓を置くことだ。これはさすがにやりすぎのような気がする。故郷を離れて会社で働き、もうふるさとに入る墓がない、というような人は昔はたしかにいたかもしれない。しかし、だからといって会社で墓まで用意するのはおかしい。

死に場所くらい自分で決める。

まして、会社は永続するものではない。倒産したり、M&Aで社名が変わったりする。特に外資に買収されてアルファベットやカタカナの社名になり、社長がアメリカ人となった会社などは、設置しつづけることは不要であろう。
撤去したとして記載されている和歌山県商工信用組合の潔さに敬意を表したい。

会社のカミ・ホトケ―経営と宗教の人類学 Book 会社のカミ・ホトケ―経営と宗教の人類学

著者:中牧 弘允
販売元:講談社
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2006年5月23日 (火)

時宗。

さすが高橋克彦先生。

基本はミステリー作家、SF作家だもの。プロットの組み立てが素晴らしい。

史実からすれば、時宗公の兄の時輔殿(ここからは時輔兄者と呼びたい)は、兄なのに庶子とされ得宗になれなかった不満から謀反を画策し、殺されたのが本当だろう。

しかし、先生の筆に載ると、時輔兄者は覆面捜査官のごとく反北条派に取り入って摘発に協力し、遂には死んだ事にして大元の首都「大都」に潜入してスパイ活動を展開する…。

こうやって書くと「オイオイ、ありえねー。」である。ところが読んでいくと、この時輔兄者の活躍が特に元軍襲来以降すごいのである。

第二巻の巻末エッセイにて劇画家のさいとう・たかお先生が紹介しているとおり、高橋先生ご自身がさいとう先生のファンであることから推察すると、作風にかなり劇画的「ビジュアル」に気を使っておられるのではないか。

だから「ゴルゴ13」並みに「ありえねー」のだが、最後まで読みきってしまうのである。

時宗〈巻の1〉乱星 Book 時宗〈巻の1〉乱星

著者:高橋 克彦
販売元:講談社
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時宗〈巻の2〉連星 Book 時宗〈巻の2〉連星

著者:高橋 克彦
販売元:講談社
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時宗〈巻の3〉震星 Book 時宗〈巻の3〉震星

著者:高橋 克彦
販売元:講談社
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時宗〈巻の4〉戦星 Book 時宗〈巻の4〉戦星

著者:高橋 克彦
販売元:講談社
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2006年5月17日 (水)

シーボルトの眼。

ねじめ先生は以前、「眼鏡屋直次郎」なる時代小説を物している。
その時も舞台の一つが長崎だった。
先生は長崎がお好きなんでしょうか。

お話は笑いと涙とお色気の人情時代小説。ねじめ先生は、基本は「商店街シリーズ」である。
ところが、シーボルト先生が来日する頃から、少しづつ変わっていく…。
 北斎師匠の娘さんの阿栄(葛飾応為画伯)と主人公の遣り取りがいい。
こういう夫婦がねじめ先生の理想像か。
シーボルトの眼―出島絵師 川原慶賀 Book シーボルトの眼―出島絵師 川原慶賀

著者:ねじめ 正一
販売元:集英社
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2006年5月14日 (日)

北条政子。

北条政子は、「尼将軍」として(特に大河ドラマでは)あまり良いイメージに描かれていない場合が多い。

しかし、永井路子先生が書くと、そこに坂東の女であり、武将の妻であり、夫への思慕、子への愛ゆえに図らずも政治に介入してしまう女性がいる。しかもそれが本人の意図せざる(悪い)方向へ進んでしまうのだ。

筆の進め方がうまい。静御前との遭遇もどちらも悪くないようにストーリーが展開する。普通、北条政子はここでは悪役だが。

読み終えると、武家政治の首都としての鎌倉ではなく、北条政子が生きていた鎌倉が見えてくる。

歴史好きで、何度も鎌倉を訪れているのに、今まで読んでいなかったなんて。「お恥ずかしい」の一言に尽きる。

北条政子 Book 北条政子

著者:永井 路子
販売元:文藝春秋
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2006年5月12日 (金)

高円寺純情商店街。

息子の読書感想文のお題の本。

正一少年の感じたままの事実が綴られている。しかし、これが「写実の妙」である。息子が「こんな風に書けばいいんだー」
なんて思ってくれたら第一段。

あとがきがいい。

「詩を書きはじめて13年。詩のコトバは押さえ込むコトバ。利き腕にぐいと力を入れて押さえ込む。そうやって押さえて押さえて出来上がるのが詩のコトバ。ところが小説は全身運動。やってみて大変。使ったことのないコトバの筋肉が弱い。書き上げるのに3年かかった。」

まじめに考えると禅問答だが、詩人が表現するとこうなるのか。

「見たまま、感じたまま書けばいいじゃん」と思った小説が、実はプロの詩人が3年かかった作品だと驚くのが第二段。

Book 高円寺純情商店街

著者:ねじめ 正一
販売元:新潮社
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無門関を読む。

臨済禅の公案、食わず嫌いだった。

「禅問答」は相変わらず訳わかんないけど、「不立文字」の真理をどう表現するか、先達のご苦労が偲ばれる。

それは自分の想いを言葉でどう伝えるか、悩みに悩む詩人のようでもある。

あの有名な「両手で打つと音が出る。隻手にどんな音があるか。」なる公案は白隠禅師創始の公案だったのね。不勉強、汗顔の至り。

「口でけなして、心で褒める」禅独特の表現を「拈弄」と言うことも初めて知った。

それよりも、『「江湖」とは江西湖南(長江の西、洞庭湖の南)で、“天下の叢林”禅道場のことです。ここから後世、“天下”のことを、「江湖」というようになりました。』(P.241)を見て、大袈裟に言うと「おお、透った!」だった。

武侠小説によく「江湖の徒」という言葉が出てくるが、原義はここだったのだ。最初は「江といえば長江、湖といえば洞庭湖だが?首都北京のある中国北部やかつて中心地だった中原地方ではない場所(世間)の人間である、という意味か?」と理解していた。

「無門関」が編集された南宋時代、北中国は「金」だった。天下が「江湖」に限定されても不自然ではない。とすると「江湖の徒」という文言が出てくればそれは南宋時代以降に作られたものだ、ということだ。

Book 無門関を読む

著者:秋月 龍〓@59BC@
販売元:講談社
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※著者のお名前が「秋月龍珉」なので、うまく変換できなかったようです。

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2006年5月 8日 (月)

破壊の女神。

中国四千年の歴史の中には、史上名を残す女性も数多いる。

勉強になったのは、

1.纏足は北宋から普及した。

2.「楊家将演義」は北方謙三先生の作品でしか読んでいなかったが、原作は女性武将が活躍し、かつ後半ではかなり荒唐無稽になっていた。しかし、京劇では有名な演目(楊門女将)。

3.女性の著者からすると、西太后は中国四千年の男性優位の王朝文化を破壊した悪女神らしい。

破壊の女神―中国史の女たち Book 破壊の女神―中国史の女たち

著者:井波 律子
販売元:新書館
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2006年5月 5日 (金)

中国の隠者。

神話時代から清までの隠者を紹介している。

私が一番好きになったのは、当たり前に「陶淵明」だった。

その詩の中に禅三昧の境地が書かれているのもそうだが、自らの著述に、新しく成立した王朝の年号を使わなかったこと、「山海経」に出てくる不屈の怪物「刑天」について詩を賦していることなどから、社会に対して鬱々たる思いがあったようだ。

まるで私のようだ…いやいや、「陶淵明」先生を自分になぞらえて考えるのはさすがに不遜の極みである。

ただ、半分隠棲している私にとっては、偉大なる先達の生き様にほんのすこしでも触れることが出来たのは幸福だった。

中国の隠者 Book 中国の隠者

著者:井波 律子
販売元:文藝春秋
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ひげうさぎ先生のだれでも書ける文章教室

小学生高学年向けの作文上達法の本だが、カミさんと二人で「なるほど」と納得してしまった。

分かりやすい。簡単。すぐにでもできそう。

子供達に読ませるつもりで、親が読んで感心してどーするよ。

ひげうさぎ先生のだれでも書ける文章教室 Book ひげうさぎ先生のだれでも書ける文章教室

著者:ひげうさぎ
販売元:柘植書房新社
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2006年5月 3日 (水)

裏切り者の中国史。

裏切り者では中国一有名な秦檜のことが知りたくて読んでみた。

岳飛廟の前に、唾吐きかけ用の秦檜夫妻の鉄像があるのは知っていたが、なぜ妻も罪人として今でも糾弾されるのかが分からなかった。

ところが、この奥さんの方(王夫人という)も悪人伝説の一方の主役だったのだ。まあ大変というか、お可哀そうにというか…。

その他、いろいろな裏切り者が出てきて知識は豊かになる。但し、作者の善悪の価値判断が普通すぎて面白くない。そりゃ裏切りや虐殺は悪いっちゃ悪いだろうが、宮城谷先生や北方先生や堺屋先生だったら、もうちょっと気の利いた書き方ができるだろうに。

裏切り者の中国史 Book 裏切り者の中国史

著者:井波 律子
販売元:講談社
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2006年5月 2日 (火)

奇人と異才の中国史。

中国四千年の歴史だもの、そりゃ奇人や異才はいっぱいおるがな。
春秋時代から中華民国まで、56人の奇人、異才を紹介している。ただ、岩波新書版で3ページぐらいでおしまいなので、「はあ、そうですか」「そうだったんですか」の繰り返しである。
最後に、日本語で読める各人の文献を紹介しているので、興味を持った方がいたら、それを読んでください、という入門書。

奇人と異才の中国史 Book 奇人と異才の中国史

著者:井波 律子
販売元:岩波書店
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