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2006年7月29日 (土)

八月の砲声。

戦国武将の歴史小説を数多く執筆されている津本先生の目から見ると、関東軍や大本営の参謀たちがなぜこんなに現状認識を欠き、人命を軽視し、思考を停止させたまま戦争を開始したのか、同じ日本人でありながらどうしてこんなに違うのか、歯軋りしたい思いだったのだろう。

「なぜあんた達はこんなにひどいのだ!?」という作者の声が聞こえてきそうである。

ただ、同じような精神性を持つ国は現代にも存在する。わが国の中にも似たような組織・集団が現れては消えている。

人間が人間である限り、現実逃避と思考停止はなくならないかもしれない。しかし、これを悲惨な結果になるまで放置してはいけない。

※この本は、(2005年出版なのに)アマゾン報酬対象外でした。

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2006年7月25日 (火)

良寛異聞。

「私は、この作品の中で、死と向かいあっている74歳の彼(良寛)と、漂流中の52歳の彼と、混沌とした18歳の彼とを同時進行させている。」(P.130)

この表現方法は、舞台で視覚化すると理解しやすかったかもしれない。
私のようなおバカな人間には、状況を掴みにくかった。

もう一つの作品、戯曲「弥々」は「良寛異聞」を読んでいるために、すんなり頭に入ってきた。これは得した気分。

良寛異聞 Book 良寛異聞

著者:矢代 静一
販売元:河出書房新社
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2006年7月21日 (金)

聊斎志異

当然だが、岩波文庫より岩波少年文庫の方が読みやすかった。
我が家の子供たちが読むかな?と思ってわざとみんなの目に付く所に置いておいたら、
娘(現在小学5年生)が読んでいた。
父親から薦められても素直に読まないから、こんな芸当が必要だ。

改めて読んでみて、著者は清朝に反感を持っているのが分かる。
清朝軍はむやみに人を殺すとか、満州兵はしきたりを知らないとか。
ご本人が何度も科挙を受け続けて結局合格しなかったせいか。

著者の蒲 松齢先生は山東省淄博市のご出身で、観光用に故居が保存されているようだ。
この街はかの斉の都、臨淄のそばらしい。

いつの日か、斉の桓公や孟嘗君がいた臨淄を訪れることがあったら、ついでに見てみようかしらん。

聊斎志異 Book 聊斎志異

著者:蒲 松齢,立間 祥介
販売元:岩波書店
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2006年7月20日 (木)

中世神話。

日本の中世(この本では鎌倉、南北朝時代)に日本神話がどの様に変化したか、伊勢神道を例に書いている。
いわゆる日本創世神話、天孫降臨神話などが種々のバージョンに変成していく過程を目の当たりにするのは興味深い。

日本に限らず、神話は時代とともに変化するのだ。

中世神話 Book 中世神話

著者:山本 ひろ子
販売元:岩波書店
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2006年7月19日 (水)

図書館を使い倒す!。

プロはこうして資料を探すのか!と納得の一冊。
あいまい検索で本が見つかるサイトは素晴らしい。読まねばならぬ本がたくさん出てくる。また未読リストが増えてしまった。

あとがきの「公共図書館はベストセラーに予算を使うな」という提言は、「公共性」をどう解釈するかで違ってくる。読後によく考えてみるべきである。

図書館を使い倒す!―ネットではできない資料探しの「技」と「コツ」 Book 図書館を使い倒す!―ネットではできない資料探しの「技」と「コツ」

著者:千野 信浩
販売元:新潮社
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2006年7月18日 (火)

「コーラン」は神様からのステキな詩。

イスラム教の入門書として読んでみたが、がっかり。

礼拝する方向をエルサレムからメッカに変えた理由が「コーラン」そのまま。

女性に対する扱いも、「キリスト教でも女性蔑視はあった」「ベールがあるから女性の社会進出が促されている」と書いている。だが、それが女性にベールをかぶせる理由になるのだろうか?

回り道したけれど、ちゃんと井筒俊彦先生の本を読んでみよう。

『コーラン』は神様からのステキな詩―家族で読んだ夕べ Book 『コーラン』は神様からのステキな詩―家族で読んだ夕べ

著者:岡本 英敏
販売元:元就出版社
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2006年7月13日 (木)

清兵衛と瓢箪。

息子の読書感想文のお題の本。

父親の立場で読むと、複雑な気分。

私は、清兵衛ご自慢の瓢箪を叩き割ってしまうような無理解な父親だろうか。

清兵衛は、骨董屋で五十円(大正元年当時、小学校の小使いさんの月給4ヶ月分だそうな)で売れるほどの瓢箪を作り上げる才能があった。

私の子どもたちは、そんな隠れた素晴らしい能力があるのだろうか。

よく分からないのである。

Book 清兵衛と瓢箪・網走まで

著者:志賀 直哉
販売元:新潮社
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2006年7月12日 (水)

細胞紳士録。

細胞の顕微鏡写真がグロである。

あんな気持ち悪いものが自分の体の中にあるとは…。

ところが、「あとがき」を見ると、「この本は、美しい細胞たちとの出会いの物語である。」

そうか、著者(二人いる)はこの細胞たちが「美しい」のか。

それだけではない。「その細胞のことをもっと知りたい、ということになると、本や論文を読む。するとそこで、その細胞にかかわった古今東西の人物たちに出会うことになる。自分が観察しているこの細胞を、それぞれの時代の顕微鏡を使って覗いていた人があると知るだけで、ゾクゾクする。」

よーするにヲタクである。だが、それを仕事に出来るのは羨ましい。この人たちは本当に好きで顕微鏡を覗いているのがよく分かる。

本のイラストも著者のお二人が描いている。プロの漫画家みたいだ。こんな人が模式図を描くと、すごく分かりやすい。顕微鏡写真に写っている映像のうち、理解して欲しい部分だけ抽出できるからだ。

ヲタクで食べていける人生って素敵だなー。

カラー版 細胞紳士録 Book カラー版 細胞紳士録

著者:藤田 恒夫,牛木 辰男
販売元:岩波書店
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2006年7月10日 (月)

エリザベート。

本の題名が「エリザベート」だったので、てっきり「皇妃エリザベート」だとばかり思っていた。
しかし、本を手にしてみると、「最後の皇女」と書いてある。間違いに気が付きつつ読み進めていくと、あの「うたかたの恋」で有名な皇太子ルドルフに一人娘が存在し、それが本編の主人公「エリザベート」だった。こんな女性がいたとは寡聞にして知らなかった。

そのまま、皇太子ルドルフの苦悩、突然の死。うち続くハプスブルグ家の不幸、第一次世界大戦、オーストリア=ハンガリー帝国の崩壊、民族国家の独立、ナチスの台頭、オーストリア消滅、第二次世界大戦、ソ連侵攻、永世中立国宣言…。
あっという間に読んでしまった。
激動の歴史とは、これだろう。

他民族国家の集合体だからこそ、ハプスブルグ帝国がEUの先例であり、ヨーロッパ文化、芸術の一つの頂点だった。

この本、西欧・東欧の分け方に入りきれない「中欧」を知りたい人、EUの思想的源泉を知りたい人、ウィーン、プラハ、ブダペストを訪ねる予定のある人に是非読んでいただきたい。

エリザベート〈上〉―ハプスブルク家最後の皇女 Book エリザベート〈上〉―ハプスブルク家最後の皇女

著者:塚本 哲也
販売元:文藝春秋
Amazon.co.jpで詳細を確認する

エリザベート〈下〉―ハプスブルク家最後の皇女 Book エリザベート〈下〉―ハプスブルク家最後の皇女

著者:塚本 哲也
販売元:文藝春秋
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2006年7月 8日 (土)

名歌で読む日本の歴史。

スサノオノミコトの「八雲立つ~」から幕末期会津藩家老の西郷頼母ご妻女の辞世の句まで、それぞれの歴史のひとこまを、歌と作者の紹介によって切り取っている。

江戸時代の短歌について知識がなく、秀歌が多くあることに驚いた。

短歌、悪くない。

名歌で読む日本の歴史 Book 名歌で読む日本の歴史

著者:松崎 哲久
販売元:文藝春秋
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2006年7月 1日 (土)

鎌倉 古寺を歩く。

鎌倉のお寺といえば禅寺が有名だ。
だが、実はそれだけではなく、様々な仏教寺院がある。(新義律宗・浄土宗・日蓮宗など)
そして、その建立の目的も、恨みを呑んで死んでいった人々の菩提を弔うためのお寺だったりする。

鎌倉は日本最初の武家政権の都であると同時に、宗教都市でもあったのだ。

さらに、政治的に京都から独立した鎌倉は宗教的にも独立していく。

鎮護国家の法会であるが故に、朝廷以外では実施することが憚られた大仁王会(だいにんのうえ)を鎌倉でも執り行われるようになった。
また、陰陽師の安倍氏、賀茂氏を鎌倉に呼び寄せ、「関東陰陽師」集団を形成し、方違えの方角、時期など、京都側と異なる見解を示し、幕府は関東側を採用している。なんと鎌倉にも幕府専門の陰陽師がいたわけだ。

宗教的な観点から鎌倉を訪ねる時、助けになる本である。

鎌倉 古寺を歩く―宗教都市の風景 Book 鎌倉 古寺を歩く―宗教都市の風景

著者:松尾 剛次
販売元:吉川弘文館
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